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万葉の古道を偲ぶ 第1回 大波野〜佐田
ここに載せる写真は、からと水道の大波野から佐田へ昇っている旧道を歩いてみたものです。
新道路の建設によって昔とは風景が変わってしまった所もありますが、かっての万葉の道を偲ぶことはできます。
からと水道跡の大波野です。万葉人たちはここで舟を降りて徒歩で佐田へ登って行ったのでしょう。
ここから佐田までの所要時間は、普通に歩いて約30分程度です。
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この写真は石城山から大波野涅槃像を見おろしたものです。
万葉佐田への道は、常にこの涅槃像があります。
この画面ですと涅槃像の腕先の辺りを体に平行して佐田への道が登っています。
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涅槃像の足先には西中国地方最大規模とも言われている弥生明地遺跡が広がっています。
ハッピースマイルの人面粘土細工をご覧になったことがあると思います。ここで出土した物です。
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田布施町上段(たぶせちょう・かみだん)という所です。
佐田への道は、大波野からこの道を登って行きます。今では全線拡幅されて快適な道になりました。
右手には巨大過ぎてわかりませんが、涅槃像が横たわっています。
そこで、涅槃像を見おろしてたたずむ「女体社」と「大波野天神社」が左手方向に在りますので参詣してみます。
万葉人達も参詣したであろうと思われます。
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県道138から西北の方向を見ますと、送電鉄塔が建っています。
この画面ですと真ん中の鉄塔下辺りに大波野天神社があります。
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車1台が通れる幅の道を県道から約数百メートル程度登って行きますと、お地蔵さまがあります。
お地蔵さまの後ろ側(画面では向こう側)に人ひとり登れる道がありますからその道を徒歩で登って行きます。
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山のなかの地道を約数百メートル程度登ると、最初に「女体社」が在ります。
私はあらかじめ宮司さんに教えてもらっていたので女体社という名がわかるのですが、
社名札などはありませんので、初めてだと社名はわからないだろうと思います。
女体社は前面に涅槃像を見ている方位で祀ってあります。
北緯 33度58分51.2秒
東経 132度03分03.4秒
+− 7m
拝礼方位 290.5度
社殿に向かって右手方向に出雲大社と猪目洞窟遺跡があります。
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女体社の鳥居の年号は明和です(1764〜1772)。
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次に、大波野天神社に参詣します。
女体社の境内から参道が登っています。
天神社の方が高い位置に在り、高度差にして目測約10メートル高というところでしょうか。
地道を登りますと、すぐに鳥居が在ります。
昔には、この参道がふもとから見えていたという話しを聞くと、時代の流れを感じます。
まぁ、山のなかのお社は夏になると何処もこんな感じでありまして、
写真撮影は冬季に、というセオリーもあります。申し訳ございません。
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山のなかに古代遺跡のごとく長い石段が昇っています。
石段の幅は約1メートルです。
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大波野天神社
このお社も涅槃像を前面に見ています。
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北緯 33度58分52.1秒
東経 132度03分00.3秒
+− 5m
拝礼方位 295度
社殿に向かって右方向 ⇒ 出雲・荒神谷遺跡
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天神社境内から正面方向を見たものです。
松の枝の向こうに薄っすらと見える山が大波野涅槃像です。
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ふたたび県道まで下りて行く道中にも常に涅槃像が見えています。
佐田は画面左方向に登って行きます。
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道は、池を挟んで東と西に2本あります。
写真の県道138は池の東側を通ります。
古来からの道は、池の西側に細い道がありまして、その道を登って行くのが古来からの道と聞いています。
これから西側の旧道路を歩いてみます。
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旧道路に入ってすぐの道です。
向こうのトンネルのように空が見える所の左上に道祖神があります。
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撮影のため、対岸から見た写真です。ガードレールの道が今登って来た旧道です。
祠は道祖神です。この祠も涅槃像の方を前面にしています。
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通る人もないので相当に荒れています。
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池の向こうに新道路が見えています。
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右側の池は新しい池の上側にある昔からの池です。丸い形をしています。
大波野地域には、上組、中組、下組とありまして、この辺りは上組になるそうです。
上組が天神、中組がコンピラ、下組が稲荷の管轄だと聞きました。
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池を過ぎた辺りから、坂道は急勾配になります。
道路横の木と比較してみると、その急勾配がわかっていただけると思います。
この道は新道路の建設によって、今は変化してしまいました。
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登って来た峠の頂上です。このカーブを回ったら佐田に入ります。
ここも新道路の建設によって拡幅され、今は風景が変化しつつあります。
ここは多賀への分岐地点でもあり、撮影者の背後へクルリと振り返ってみますと、下の写真のようになっています。
右側の道が大波野から昇って来ている道(今登って来た道)です。左の道が多賀に行く道です。
ここも拡幅工事によって、変化しつつあります。
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峠の頂上で佐田に入ります。ここは佐田の入り口付近に相当します。
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佐田の中心となるのは佐田八幡宮と正賛寺です。ここを右に入って行くと佐田八幡宮。
画面の青い屋根の向こう右側に見えているのが正賛寺です。
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佐田八幡宮への道中から南の方向を見た写真です。(道案内ページ・佐田八幡宮の3図の地点から左方向)
画面中央に正賛寺が見えています。
向こうの一番高い山が石城山最高峰の高日ヶ峰です。頂上に高日神社があります。
さらに、その中腹に山中稲荷社があります。下の写真は近くから拡大して見たものです。
山中稲荷社については、この第2部で載せています。
佐田地域から南側を仰ぎますと、常に石城山最高峰の高日ヶ峰があります。
高日ヶ峰はウガヤフキアヘズノミコトの陵墓跡であり、それは聖徳太子を意味します。
のちに大波野の納蔵原古墳に改葬されます。そして、やがては近畿へと改葬されるのです。
万葉人たちは、なぜ佐田を目指したのか、という意味が高日ヶ峰にあります。
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佐田地域の中核とも言えるお餅形の丘です。
餅ということに付いては、からと水道の香山の稲荷社も古来より餅を供えるのがならわしです。
画面には入っていませんが、右手方向に佐田八幡宮が在ります。
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佐田八幡宮境内にて。
佐田八幡宮の写真は、こちらへどうぞ (内部リンク)
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万葉の古道を偲ぶ 第2回 佐田〜石城山 (内部リンク)
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